南フランス日記


12 November 2002 [Wed]

コートダジュールのニース空港から車で45分ほどしか走っていないのに、到着したら山のてっぺん。
眼下は雲、目の前がGourdon城、そのむこうに地中海が見える素晴らしいロケーション!
まさに「天空の城ラピュタ」の世界です。

家はお城が所有している8人用のジト(別荘)で、パッセージを入った野原の中に一軒ぽつり・・
古い石造りですが、セントラルヒーティングの上暖炉もあるし、リビングも広いし、
生活必需品もほとんど全て揃っているし、大騒ぎ出来るのでかなり快適です。
眺めの良い広いベッドルームをひとりで使わせて頂いて、なんと1日1000円ですって!

荷解き前から、ちえさんの美味しいお料理でパーティ!
あらら、ワインってこんなに美味しかったっけ?もー、最高〜。

ie

ジト(貸別荘
sanpo

>家へのアプローチ
my room

私の部屋

view from my window

朝になると・・





13 November 2002 [Wed]

ここでしばらく7人で一緒に暮らすのですが、(私だけショートステイ)
内訳は、クライマー2人、マネージャ、デザイナー、フォトグラファ、ミュージシャン、と私。
というわけで、窓の外はのどかなフランスの田舎そのものの景色なのに、
家の中にはMacがごろごろ、プロ用カメラもごろごろ、
クライミング道具も散乱しているので、まるでアジトのようです。

今日は、ボルドーから移動してきた4人もレストの日だったので、
全員でふもとの町に買い物に行ったり、お城まで散歩したり。
ほとんど自炊と聞いたので大変そうだなぁと思っていたのですが、
買い出しも楽しいし、食材は安くて美味しいし、皆料理上手ですし、よく働くし、
音楽やデザインなどについての情報交換をしながらのだらだら食いも、なかなか楽しい。

しかし、皆、思いっきり本音で喋るし、自分にも人にも厳しいのよね・・
「美織さんは、昔の人のようだ」と言われて「がーん」となっている場合じゃない!
早くここのペースに慣れなくちゃ。

i-book

パソコンショップではありません
たーさん

たーさんは機材も持ってきた!



4 November 2002 [Thu]

三日続けて嵐のような大雨。
この辺に多い石灰岩は、降雨後しみ出しがあると、かなりの期間登れなくなってしまうそうで、
大ちゃんが狙っていたプロジェクトは、もう挑戦不可となってしまいました。がっくり。
でも、とにかくトレーニングしなくちゃ・・ということで、ニースのクライミングジムへ。

ニースは噂通り華やかな街で、人も車も多いし、ゴージャスな雰囲気の所でした。
山具屋さんとジムに行った他は、車の中から景色を眺めただけでしたが、
雨にも関わらず、地中海は、本当に本当にとーっても綺麗でした。

大ちゃんは、クライミングの盛んなフランスではスーパースターだと聞いていたのですが、
確かにどこに行っても大人気!おかげでとっても親切にしてもらえました。

しかし、降雨量に比例してワインの量が増え、1日6本ペース。
宴会時間もどんどん長くなっているけれど、こんな毎日でいいのかなぁ。

ジム

ニースのクライミングジム
地中海

地中海 ブルービーチ




15 November 2002 [Fri]

クライマーチームは、濡れていても登れる岩場を求めて三千里、
パソコンチームは、インターネットが出来る所を求めて三千里。(Giteには電話がなかった・・)
なんとかいろいろな人に教えてもらいながらやっとサイバーカフェに辿り着けたのですが、
不親切なオバサンと骨董品のようなパソコンが1台のみ・・
自分のパソコンを使わせてもらえるよう交渉したのですがノン、
日本語フォントのダウンロードもノン!
せっかく国際ローミングサービスを申し込み、念入りに準備してきたのにぃ。
電話事情、買い物事情、ネット事情なども含め、
自分がどんなに便利でらくちんな生活をしているか、思い知らされた日でした。

素敵なところなんだけどなぁ・・
   「面倒なことには関わらないようにしています」という意思がはっきり伝わってきちゃうのが・・。

家と山

こんなロケーションで
雲の上

こんな高い所だもの、不便なはずよね





16 November 2002 [Sat]

女性三人で、ニースを一望出来るSt.Jean-Cap-Ferrat半島へ優雅なドライブ。
念願だったニースの海岸通りを走ることが出来たし、
豪華な別荘が立ち並ぶ半島のマリーナ前で豪華なクルーザーを前に、
ボジョレーヌーボ−と美味しい地中海料理を堪能することが出来たので、幸せ〜。
地中海は、遠くから見ても近くから見ても、本当に綺麗!
あまりの美しさに、生まれて初めて、景色を見ただけで涙を流してしまいました。

帰ったら、デザイナーのWさん作のノンキー組曲のジャケットが出来ていたので、さらに感激。
出かける時、Wさんの部屋からノンキーの口笛が聴こえていたので、ちょっぴり期待していたのだけれど、
まさか、こんなに私好みのデザインに仕上がっているとは・・ ほんと、フランスに来て良かったわ〜!

Wさんは、一見今風のお洒落な若者ですが、たぶんとっても奥深い人なのじゃないかなぁ。
フランスで撮影したひつじくん達もまさにそんな印象だったので、
もしかしたら、赤い糸で繋がっていたのかも。
ジャケットには温かさとクールさが同居してて、不思議な感じや深みも感じられました。

St.Jean-Cap-Ferrat

マリーナ
レストラン

滅茶苦茶可愛いかったお店の女の子





17 November 2002 [Sun]

遠出&大宴会続きでちょっと疲れたので、私はお留守番デー。
とーっても優しい人達ばかりですし、個性的なメンバー構成だからこそ、
かえってお互いを尊重し合っているようで、協力しなくちゃいけない時以外は、
それぞれ「自分の時間」を大切にしています。素晴らしい!

部屋でのんびりした後は、目の前のお城へお散歩。
グルドン城は景色も抜群(カンヌ、ニースも見えるし、地中海も綺麗に見えます)ですが、
ハンググライダーやハイキングなども出来るので、沢山の地元民で賑わっていました。
お城の周りには可愛いお店が立ち並び、レストランや教会、ギャラリーなどもある素敵なところです。

こちらの人は、お店に入ったり、道ですれ違っただけでも「ボンジュール!」と声をかけてくれます。
だがしかし、やっぱり田舎ではフランス語しか通じない・・
身ぶり手ぶりの買い物で悪戦苦闘していたら、疲れをとる日のはずだったのに、かえって疲れちゃった!

ギャラリー

ギャラリー
ショップ

ラブラドールも多かった
ワイン屋さん

ワイン屋さん
お城内のレストラン

お城内のレストラン





18 November 2002 [Mon]

「カンヌでインターネット組」と「裏山登山組」に分かれることになったのですが、
私は迷いに迷った後、ちえさんと大ちゃんと三人で裏山登山をすることにしました。

頂上からの景色は筆舌に尽くし難し。南に地中海、北にアルプスの雪山がくっきり!
頂上で乾杯したのですが、「この感動をどう言い表せばいいのか、言葉がみつからないね」
と言い合ったほど、本当に本当に感動的な景色でした。

青い空に突き刺さる真っ白の山、どんどん赤く染まっていく空、可憐な野の花、光り輝く海・・
もう、自分が抱えているほとんどのことがどうでもよくなりました。
「どうにかしてインターネットに繋ぎたい」とずっと思い続けていた思いも、ぷっつり。
書き込みをして下さっていた方々、ごめんなさいでした。

てくてく

てくてく・・
大ちゃん

すごいでしょ?
大ちゃん

全く怖がらない大ちゃん
夕焼け

帰りは夕焼け





19 November 2002 [Tue]

車で峠を二つ越え、2時間半ほど走った綺麗な湖近くの森の中の町"Annot"でクライミング。
大雨が降ってしまうと、石灰岩は中から水がしみ出てきて登れないらしいのですが、
アンノットの岩は砂岩なのでしみ出しがなく、降雨後でも登れるとのことでした。

大ちゃんが、私でも登れそうな岩を見つけてきてくれたので、思い切って私も挑戦!
ここで落ちて怪我をすると皆に迷惑をかけてしまうと思うとビクビクでしたが、
フランスの岩に登れるチャンスなど、きっともう一生無いと思われるので、頑張りました。
大ちゃんがビレイしてくれたので、とっても幸せでした〜。
しかし、山登りの次の日にクライミング・・体育会系の日々だなぁ。

日射しがかなり強力なのは噂通り。でも、月明かりまでもがまぶしかったので吃驚でした。

i-book

こんな感じの岩が一杯
私

勇姿?!
犬

いつのまにか群れに混ざっていた犬
岩の上の教会

どうやっていくのかな?この教会





20 November 2002 [Wed]

ちえさんと二人でカンヌまで行ってみました。
海岸沿いのホテルもゴージャスな感じではなかったし、アメ横風の商店街が連なっていて、
映画祭のイメージとは違い、庶民的な町の印象でした。
地図と標識とにらめっこしながらだったので、ちょっと疲れましたが、
海岸に面したお店で夕食用の生牡蠣と美味しそうなエビとパンを仕入れて、二人でにんまり。
野菜も魚介類もお肉もオリーブ油もビネガーもバターもパンも超美味なので、
豪華食卓の毎日から抜け出せません。嗚呼・・

そして、夜はまたまたどんちゃん騒ぎ。(毎日のことですが)
と言っても、ノンキーのデザインやトランス系たーさんのジャケットデザインの相談をしたり、
本日の成果を見せ合ったり、聴かせ合ったり、フランス語のお勉強などもして、結構真面目な宴会なのですよ。

そうそう、クライミングのジュニアチャンピオンのピロくんは、
こちらにきて初めてパソコンに触ったというのに、
 Illustratorの使い方もCubaseの使い方もマスターしてしまいました。恐るべし、19歳!

マルシェ

これは近所の朝市
た-&ぴろくん

トランス、直伝





21November 2002 [Thu]

昨日に引き続きカンヌ。
というのは、カンヌでやっとまともなネットカフェを見つけたからです。
でも、私はもう残り少ない日々なので、ネットするよりショッピングを選び、
カッコ良いソムリエナイフを探したり、お土産用の食材選びをしました。
フランス生活の長い大ちゃんやWさんのアドバイスを頼りに、
スープ、フォアグラ缶、マスタード、ビネガー、ブールグール(パスタの一種)などなど。
本やCDも少し買ってみました。が、買いたかったのに買わなかったのはデザート系。
甘過ぎて食べられない・・
生物、パンこそ皆に食べさせてあげたいのになぁ、悔しい〜。

一方、Wさんはタイヤを買いに町まで。
そうなのです、アイルランドに引き続き、暴走がたたってタイヤがバースト!
そして、もう1台は、ドアが壊れてしまいました〜。
それだけよく走り回っているってことですね!

朝日

この朝日で起きるのもあと少し
タイヤ交換

またまたタイヤ購入!





22 November 2002 [Fri]

私が遊べる最後の日だったので、皆が私にどうしても見せたいという、
マルセイユ近くの海岸「カランク」に連れていってくれました。
なかなか観光客が行かれないような不便な所にあるので、自然のままだよと聞いていたのですが、
160km/hで飛ばして車で2時間半、さらにそこから歩くこと1時間半・・ふぅ。
でも、その甲斐がありました。もうもうもうもう、うぅ・・・感動の涙。
「ニースの海岸なんて問題外!地中海はこれよ、これ!」という感じでしょうか。
地球上にこんなに綺麗なところがあるとは・・
地中海って、近くでも見ても本当に綺麗な色。それに、南仏の空の青さったら!
さらに石灰岩の岩肌の白さが、これまたその青い海にも空にも似合うのよねー。
「本当に、今回、思い切って良かった〜〜〜!」と叫んだ後に、うるうる・・
(カメラには収まっていません!もっともっと素敵でした。きっぱり。)

カランク
カランク
カランク
カランク
カシス
海岸で遊ぶみんな





23 November 2002 [Sat]

午前中パッキングを済ませた後、大ちゃん、ピロくん、いっこちゃんと近所の岩場へ。
そこは、大ちゃんの今回の遠征の目的だったルートがある岩場です。
そのルートは依然としてしみ出しがひどいのですが、濡れてない所で新たなルートを発見した様子。
大ちゃん、かなり真剣な顔で取り組んでいました。
私がいる間、まったりした生活になってしまっていたので、最後に、真剣な姿を見られてホッ。
大ちゃん、残りの日々も頑張ってね!

岩場まで結構な傾斜の道なき山道を通らなければならないのですが、
小雨が降っていたのでさらに足場が悪く、靴もジーンズも鞄もどろどろになってしまいました。
あ〜あ〜、このままパリ経由成田なのに。
でも、ま、いいか〜。体育会ツアーの勲章、勲章。

すっかり情が移ってしまったし、本当に良くしてもらっちゃったので、
皆との別れが辛くて、辛くて・・うるるしながら飛行機に乗ったものの、
そういえばひとりで乗り換えをしなくちゃいけないのだった。緊張するなぁ・・
と思ったら、シャルルドゴール空港では、英語どころか日本語のアナウンスもあって、ガクッ。
同じフランスでもパリは別国と言われているらしいけれど、南仏の田舎とは本当に別世界なのね。

ワインやブランド品を抱えた小奇麗な日本人が、ゾロゾロ、ゾロゾロ・・
うふふ、案の定、私の汚い格好をジロジロ見てる〜。
「私ね、自然が好きなの、人間が好きなの、動くことが好きなのー!」
と心の中で叫びながら、今、搭乗ゲートでこの日記を書いております。

最後になりましたが、私に満点の旅をさせてくれた家族・友人達に、心から感謝致します。

大ちゃん

岩場、バイバイ!

SDG空港

別世界(シャルルドゴール空港)




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