profile milly la foret web works diary news contact Miori's Web TOP

LOG
ライン

2011_05/08

「選択」

全く書く時間がなかったかといえばそうではなかったし、この日記のことを忘れていたわけでもありません。
「選択」が毎日迫られ試される日々の中で、生と死を分けた選択、取り返しのつかない事故に至るまでの選択も含め、
自分が今までにしてきた選択を見つめ直してみたり、これからどう選択していくかを考えていたら、
あっという間に2ヶ月経ってしまっていたのです。

ある人が「情報の入手のし方は、その人の衣食住・友の選び方と等しい」と言っていましたが、
なるほど、「選択」にこそ、その人の「生き方」が表れているのかもしれませんね。

私は、選択のチャンスがある時は、必ず、大変そうなもの、時間がかかるものを選んできました。
その方がスキルアップ出来るし、「大きな達成感」を得られるからです。
結果、プロセスを十二分堪能出来ましたし、「暇を持て余す」こともなかったし、
心底好き&尊敬出来る人達に巡り合えたので、
(↑「大変なもの」に真摯に向き合っている人の中に、魅力的な人が多いなぁと思います)
自分の「選択」に対して、後悔したことはありませでした。

ところが、震災後、私のようなタイプは、非常事態の時、
もっともダメなタイプ、ということが分ってしまったのです。
そうですよねぇ、生きる美学にこだわる前に、まず、どうやって生き延びるか、、、ですよねぇ。
でも、そのこだわりがあってこそ、私の人生・・と思ってしまう。
さあ困った。
与えられた命を大事にするためにも、失われてしまった命の分まで生きるためにも、
良い選択をしたいなぁとは思っているのですが。
「選択」についての悩みと訓練は、まだしばらく続きそうです。

とはいえ、私自身はとても元気です。
今こそ、人間の、日本人の、私の底力を発揮すべき時だ・・と思っていますよ!
御安心下さいませ。


さて、この2ヶ月は、「旅」の連続でした。
といっても、私が選択したのではなく、与えられたチャンスばかりだったのですが。

まず、震災の次の日は、名古屋で甥の結婚式でした。
高速道路が不通になっていたため、
電車や新幹線やタクシーを乗り継いで母をピックアップし、ギリギリ辿り着いた時は、嬉しかったなぁ。
当たり前だと思っていた交通手段の有り難みを久しぶりに感じました。

その数日後、milly la foretライブツアーのため、いざ、ニュージーランドへ。
出国する外国人家族でごった返す&余震で恐ろしかった成田エアポートに着いた時は、
正直、テンション、ミニマムでした。
「大丈夫かなぁ、こんな調子で異国の地でライブをこなせるのだろうか」と不安いっぱいでした。
なので、この度は、仕切りの全てをニュージーランドチームに委ねる選択をしたのですが、
その選択は、大正解だったと思います。郷に入ったら郷に従えとはよく言ったもので、
現地のミュージシャンやスタッフ、友人達のおかげで、想像を越える得難い貴重な経験をいっぱいさせて頂き、
本当に素晴らしい演奏旅行をさせて頂くことが出来ました。




2週間滞在する間に、5回もライブをやらせて頂いたのですが、
毎度終わるとすぐ「CDを買いたい」「一緒にコラボさせて欲しい」などと言ってきて下さる方が必ず居て、
予想外に反響が大きかったことも、我々の元気を取り戻させてくれた要因だと思います。
南アフリカからのツーリストも買って下さったのですが、
遠く離れた国で今頃我々のCDを聴いてくれているのかなぁ、と思うと、世界が一つになった感じがして、ウルル。
作って良かった、行って良かった。

ニュージーランドの雄大な自然も素晴らしかったです。
ライブの合間に牧場に行ったり、ブッシュ・ウォークしたり、南十字星や天の川を見たりしたのですけれど、
国中が緑、国中がとても綺麗! 動物達もとても可愛いかったです。
コラボの約束もしちゃったし、マスタリングに立候補してくれたエンジニアもいるので、
再訪したいと思います。

それから、ひつじの国で、こひつじ達が旅立ち、帰る場所のことを歌った「ハイランド」を 演奏させて頂いたことも、
忘れられない思い出となりました。
ニュージーランドで演奏したものは、Robの作詞・アレンジ版で、バグパイプやクック諸島の木鼓、
和太鼓などが入った力強いものでしたが、(こちらのバージョンをmilly la foretの次作アルバムに収録予定)
実は、旅立つ直前に、被災された皆さんのことを思って作ったバージョンがあるのです。
皆さんにとっての「ハイランド」=故郷が、どうか一刻も早く再建されますようにという祈りを込めて・・。
完成版ではありませんが、ここに置いておきますので、聴きながら一緒に祈って頂けると嬉しいです。



Highland


なお、ニュージーランド旅行記は、milly la foretブログに詳しく綴っていくつもりなので、
そちらもご覧頂けると嬉しいのですが(俊輔君の日記にも綴られております)ここに 一つだけエピソードを残させて下さい。

Keithが、23年前我が家に初めて来た時、間違ってシャワートイレの水を浴びてしまった事件のことを話していた時、
ジェントルマンで往年のスターだったZaine Griffさんが、
「日本のトイレにはシャワーが付いていてね・・」というくだりで「へぇ~」と目をまんまるくして驚いたのです。
そういえば、ニュージーランドでは、一個も見ませんでした。
今や日本では高速道路のサービスエリアも全てシャワートイレだというのに。
さらに、節電中の東京の方が、オークランドよりずっと明るかったことも付け足させて下さい。
国外に出てみて、ようやく自分達の「普通」が相当贅沢な生活だったことに気づきました。
反省と共に改善したいと心から思っています。



さて、帰国してからも旅は続きます。
帰国2日目に、亡き父の故郷、長野県飯田市の秘境へ散骨へ。
アルプス山脈のおかげで、横浜から片道8時間強かかりますが、
父が生前寄贈した桜並木の開花時期にどうしても行きたかったので、強行しました。





木はまだ若いのですが、花はばっちりついていました。
最初桜を寄贈する話を聞いた時は「よそ者なのに、ちょっと出過ぎでは」と思ったけれど、
実際に行って見てみると、山と川に彩りを添える桜は本当に素敵でしたし、
温泉のスタッフが「桜のおかげでこんな過疎地にも沢山人が来てくれるようになって・・」
と喜んでくれてましたし、私にとっても父を思い出せる場所となったので、
「万万歳!」と思えるようになりました。


でも、桜より、実は、叔父夫妻に感動した私。。。
二人とも、まるで自分の子供を迎えるように、私達の好物をいっぱい用意したり、
ビデオカメラをわざわざ購入したり、お寺にピアノを貸して貰えるよう頼んだりして、
私達をすごく嬉しそうに迎えてくれたのです。
「帰るところ」「自分を迎えてくれる笑顔」があるということは、本当に幸せなことなのだなぁと痛感しました。
ぜひとも、利便性だけを考える復興ではなく、「故郷」を再建する復興にして頂きたいと、
この時、強く思いました。

次の週は、父の命日だったので、浜松の母のところへ。
父の好きだったスーパーマーケットで、父の好きだったものを買い集め、
皆で思い出話をしながら過ごしました。
実は、今でも買い物途中に、つい父の好物をカゴに入れてしまい、
レジで「あ、そうだった、もう居なかったんだ」と気づく時があるのですが、
一年前はそんなことで号泣していたのに、今ではニヤっと笑えるようになりました。
時の力は素晴らしいですね。

そして、次は、島根への旅。シマネ健バンドで、です。
東京でライブを行った直後、島根県へ出発し、ついに、 松江城の前で凱旋ライブを実現させたのです。
この日が、セカンドアルバム「神々の国」の発売日でもありました。



なんと、人口が全国で2番目に少ない県だというのに、嵐の予報だったのに、1200人を超える人達が集まって下さり、
大いに盛り上がりました。とっても気持ち良かったです!島根県、最高!シマネ健、最高!Queen、最高!

中国新聞 / 毎日新聞 / asahi.com / Yahooニュース


シマネ健バンドは、全部コピー曲で、しかも難曲揃い。なので「適当」ではなく「きちっとした演奏」が要求されます。
御存知のように、コピーもクラシックピアノもあまり経験のない私にとっては、とてもハードルが高いです。
でも、だからこそ、良いチャンスだと思って、ステップアップ出来るように頑張っています。
久しぶりに奈落の底から這い上がっていく感じ・・。なかなか良いです。

毎日練習を続けていると「自分のモノになった」と感じる瞬間に出会えます。
そして、さらにバンドで練習していると「音楽になった」と感じる瞬間に出会えます。
そしてそして、本番の時、皆の魂が一つになって舞い上がっていく瞬間に出会えます。
そうすると、その塊を健さんが、もっと高い場所へ引き上げてくれます。
上手さもエネルギーの強さも人並み外れているというのに、
自分だけが突っ走っていくことなどなく、皆をちゃんと引き連れていってくれるのですよー。凄いでしょ。
毎度、 演奏しながら感動してます。
この気遣い・サービス精神が、「素敵な人が持つ魔力」の素なのだと思います。
政治家も企業の社長さんたちも、あんな風に引っ張ってくれたらいいのにねぇ。


そうそう、この島根ツアーには、健バンドメンバーの他に、
鷹の爪団のフロッグマンさん、iPadの手品で有名になったサラリーマジシャンの内田さんも同行していて、
豪華食事付き手品付きお笑い付き観光付きの素晴らしい2泊3日だったのですが、(そのうち、ステージは1時間半だけ。笑)
最後に、なんと、出雲大社で、出雲出身者も「初めて見た!」という「一番」のおみくじを引いちゃいました。
(吉凶は書かれてないのが特徴で、番号が小さいほど良いくじとのこと)
「今は、何をやってもうまくいく」そうです。
でも、「これで運を使い果たしたかもしれない。やっぱり地道に頑張ろう」と、思ってしまった私は、
筋金入りの「苦労・困難好き」かもしれません。


さて、次は(ここからは未来)、司君率いるStill... you turn me onのライブのお知らせです。




こちらも日本の音楽界を引っ張っている巨匠達が揃っている上、
(全てアンプラグドの楽器で演奏する贅沢なコーナーがあるのです。素晴らしい企画でしょ!)
リコーダー、シンセの他に初めて持つアコーディオンを担当することになったので、ちょっと引きつり気味ではありますが、
こんな素晴らしいメンバーに加えて頂けたことに感謝し、一所懸命練習しています。


ライブ会場には、本物の素晴らしい彫刻、素晴らしい絵画が飾られ、
この日のために用意された貴重な映像も披露されるそうですよ。
その中で、今話題のコンテンポラリーダンサーが舞い、巨匠達が奏でるなんて・・・
すごく楽しみ。 どの曲もすごーく素敵です!!
これは絶対に観た方が良いと思います。
ぜひぜひ!司君の長年の夢が叶う瞬間を共に見届けましょう!

The intersection of Art ~アートの交差点~ 時間と空間のコラボ #1
5月14日(土)17:30 開場 18:30 開演
@西麻布SUPER DELUXE  

詳細は、こちらをご覧下さい。



その他、映像用の音楽、イル君アルバム、milly la foret アルバムも、ちょっとづつですが進行中です。
イル君アルバムには、かなり昔に作った曲も収録することになったので、
現在使っているDAWソフトに、データを移行しているところなのですが、超面倒!
いい加減、規格を統一して欲しいです。
しかし、聴くといろいろ直したくなってしまうのが私。
本人の希望で、予定より曲数がどんどん増えているし、、、一体いつ完成するのやら。

milly la foret の次作に、NZのミュージシャンに大いに参加して頂こうと思っているのですが、
ニュージーランドのネットの速度がとても遅かったので、ファイルのやりとりで苦労しそうです。
でも、私と同じく苦労大好きなRob, Keith, Hugh達が、超前向きに協力してくれているので、
きっと上手くいくことでしょう。
Zaine Griffさん(すごーく素敵な人でした)も「ぜひ一緒に曲を作りましょう!」と言って下さっているので、
是非そうさせて頂こうと思っています。
ポップなセンスを学ぶためにも、錆びついていた英語力を戻すためにも。


それから、去年作った「二見の大ムク」の歌を、和歌山の小学生に続き、
地元五條市の小学生が元気いっぱい歌ってくれている映像を送って頂いたのですが、
大ムクの木と同じで「笑顔にさせてくれる力」を持った子供達の歌は、とても素敵でした。なので、つい、
「和歌山と五條の子供達と一緒に歌いたい!」と思ってしまったのですが、
はて、どうやって皆さんに集まって頂いて、どうやってCDクオリティのモノを低予算で録ったらいいのか・・
そして、他の曲とどうやって同居させたらいいのか・・・

というわけで、人生のみならず、音楽でも、困難な方に困難な方にどんどん進んでいってしまう私です。
さて、私の「選択」は、どんな結果を生むのでしょう。どうぞ楽しみにしていて下さい。



line

2011年3月の日記へ / HOME