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2015_04/16 updated

喜びは作り出すもの

大好きな春がやってきました。
その季語でもある筍を、長年、米糠と輪切り唐辛子を用いてあく抜きしてきたのですが、
新聞の記事にあった「大根のおろし汁に塩を加えたものであく抜きする」方法に
なぜだかとても惹かれたので試してみたところ、
春を迎えるのに相応しい苦みがほどよく残り、食感も良く、まさしく私の求める味でした。
料理人達の、伝統を継承しつつ、絶えず進化していく様子には、日々、触発されます。
食材への愛、食べる人への愛がそうさせているのでしょうか。

筍のあく抜き方法だけではありません。
今年に入ってから、自分の生活を意識して変えています。
というのは、「全て良い経験・勉強」「チャンスは有難いこと」「皆に喜んで貰えるなら・・」
と、何でも受け入れやっていたら、いつのまにか抱え過ぎになり、
いろいろなコトや人への愛が中途半端になってしまったからです。
ちょうど敬愛するターシャ・テューダーの本を読んでいた頃だったので、
余計にそう思えたのかもしれません。

ターシャのように、ゆったりと流れる時間のなかで、丁寧に、愛情をかけて物事を行おう!

そう決意してから行動に移すのが、今回は早かったです。
よほど切羽詰まった状態だったのでしょう。

まずは「ゆったりと流れる時間」を手に入れるべく、
モノを減らし、すべての場所の内容を把握し、すぐに取り出せる工夫を施し、
探す時間、管理する時間を省きました。
そして、創作するのには体力が必要なので、家事の流れの中で身体を鍛えられる工夫もしてみました。

次に、溢れるように入ってきていた情報をシャットし、発信もやめてみました。
(というわけで、随分、日記を放置してしまいました)
外からの情報が減り、最初は「おいてけぼりになるかなぁ?」と少し心配になったのですが、
そんなふうに思ったのはわずか2~3日で、
落ち着いたら、むしろ精神的にも肉体的にもとてもラクになりました。
取り巻く人や、情報や、食料や、やらねばならないことが多かった時は、頭も身体も疲弊していたのですが、
減らしてみたら、びっくりするくらい頭と身体が活発に動き始めました。
これで、私にとって「量が多い」ことが、非常にストレスだったことが分かりました。

「考える時間」や「丁寧に作業する時間」が出来ると、
大切にしたいことを大切に出来るようになり、幸福感も増しました。
つくづく「喜びは自分で作り出すものなのだなぁ」と感じている今日この頃です。


発信もやめた・・と書きましたが、ちょこちょこ演奏させて頂いたりはしておりました。


photo by Rishi Otsuka

その中に、陶芸家の山本安朗さんと華道家の大塚理司さんの展覧会があったのですが、
これが素晴らしかったです。
力強い中にも優しさがある作品は勿論のこと、打ち上げで伺ったお話がとても素敵でした。

登り窯で10日間かけて蒸し焼きにしている山本さんは、
一回の窯焚きに自分で割った約10トン分の薪(75万円分くらい)を使うそうです。
「わぁ、この間、清水の舞台から飛び降りるような気持ちで購入した
apogeeのオーディオインターフェースの2個分じゃない!」と自分の機材に置き換えて驚いていたら、
山本さんもその投げ込んでいる薪が時々万札に見えてくるのだそうです。
でも、そう思っても、なぜだかボンボン投げ入れてしまえるとか。
なのに、陶土は、わずかな土でも一所懸命拾い集めて再生させるのだそうです。

一方、大塚理司さんも、たった4日間の展覧会のために(しかも売り物にはしないのに)、
2000本の珊瑚みづきを使ってらっしゃったのですが、こんなことを仰ってました。
「例えば、10本使おうと思っていたところを8本でまかなうと、ダメなのですよ。」

「勿体ない」という観点で聞けば、矛盾しているように感じるお話ですが、
全てのお話に共通して感じられたのが「愛」でした。
愛ある背景があるからこそ、人の心に響く作品が出来上がったのだろうなぁと思いました。
そして、創作に近道は無い、ということも改めて教えられました。
忍耐、忍耐、忍耐、忍耐、それにプラス愛!
モノを創り出している方々には、とても良いエネルギーを貰えます。


「とても良いエネルギー」といえば、
Zaine Griffの新しいアルバムにキーボードで4曲参加させて頂いたのですが(ついに世界進出!)、
愛ある作品を生み出していく過程に参加させて頂けたことは、大変光栄なことでした。

昨今、日本では楽譜が用意されてから割と早い段階でレコーディングすることが多いのですが、(配られてすぐのことも)
Zaineは、歌詞を用意してくれ、それにまつわるいろいろなエピソードを話してくれ、
「私が欲しいのは、あなたのエモーションだからね」と言い続けておりました。
なので、考えあぐねた結果、3カ月待って貰うことにしたのです。
何回も何回も弾いてみて、曲を自分の曲のようにして、自然に感情が湧き出てくるのを待ちたかったのです。
結果は、、、大成功!ばっちりエモーションが湧き出てきました。
Zaineも大絶賛して下さったほど良い演奏が出来たと思います。

音符を音に置き換えるのではなく、楽器を鳴らすのでもなく、
目に見えない心の中にあるものを音に置き換えて表現していくことが、
こんなにも素晴らしいことだったとは!
創作というと、ゼロから生み出すもののように感じていたのですが、
こういうふうに演奏することも、創作の一つだと思えました。
それにしても、、、、ああぁぁぁ、今まで、なにをやっていたんだか。
タイムマシーンにのって過去へ行き、「自分の演奏」を全てやり直したい気分です。

そのレコーディングは、↓こんなふうに、SkypeでNZに居るZaineの指示を仰ぎながら行ったのですが、



正直、Skypeのようなものは苦手だったのですが、この時は「いいなぁ」と思いました。
Zaine家の美しい庭を案内して貰ったりして、終始和やかな雰囲気で行うことが出来ましたし、
準備の段階でも、お互いに楽器を持って、あーだこーだとやりとりするなかで、心の交流が出来たからです。
最終的な音は楽器の音なのですが、こういうプロセスがあるとないとでは、出音が違うと思います。
やっぱり大切なのは、「人=人間性」が出せるかどうか、だと思います。
「人」に代わりはありませんからねぇ。

「代わりはない」といえば、
Zaine のレコーディングのエンジニアは「絶対にこの人!」と思ったので、
思い切って飯尾芳史さんに懇願してみたのですが、快諾して下さり、
思った通りの素晴らしい雰囲気と音を作り上げて下さいました。
久しぶりにアドレナリンでまくりでした。
求めることに応えて頂ける素晴らしさ!


娘の結婚は、いよいよ来月です。
マイクさんに作って頂いているウェディング・ドレスの仕上がりが楽しみです。
皆でわーわー相談したことを踏まえてデザインして下さったのですが、超超超素敵なのですよー。
創作するって、本当に素敵なことだなぁと思わずにいられません。
娘も、マイクさんが自分のために一所懸命作って下っている姿を見て、いろいろ感じているようです。
ありがたいと思う心が大切にしようという心を生み、大切にする心が与える喜びを生み、
与える心が作り出したい意欲を生んでいく・・・と思いますので、
このドレスは良いはなむけになると思います。

最後に、認知症の母の近況を。
母は、ついに、私のことを認識出来なくなってしまいました。
でも、そういう事態になったらどんなにショックだろう、
と構えていたのですが、びっくりするほど冷静にすぅっと受け止められました。
母に会いたい気持ちも母を好きという気持ちも、全く失われませんでした。
母は母で、私は私。それは永遠に変わらないのだ、と強く感じました。

認知出来なくなったおかげでストレスフリーになったせいか、姉のご飯が良いのか、
姉夫妻の話だと、どんどん身体の状態の数値が良くなり、投薬が減っているとのこと。
先日82歳の誕生会を皆で祝ってきたのですが、かなーり長生きしてくれそうな元気っぷりでした。


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さて、もう日にちが迫っておりますが、milly la foret が、
4/19にライブを行いますので、ぜひお出で下さいませ。
ずっとやりたかったサロンコンサート用にぴったりだと思える機材を
選りすぐって集め続けてきたのですが、ついに納得出来るものを揃え終えたのです!
(ケーブル一本までこだわって集めたのですよ)
しかも、くじ運の非常に悪い私が、くじ引きで歴史的建物内の素敵なホール利用の権利も当てたので、
両方のお祝いも兼ねて無料ライブを催すことにしたのです。
(と言いながら、本当は私達の感謝の気持ち、です。)

無料といっても、素敵な横浜山手の洋館の庭の見える広いホールで、椅子もありますし、
数ヶ月かけ、丁寧に準備した音楽を聴いて頂くコンサートです。
この機会に、ぜひmilly la foretの世界に浸ってみて下さいませ。
詳細は以下の通りです。



2015_4/19 (sun) open 13:00 start 13:30

「春色の坂道を・・・」
@横浜エリスマン邸(横浜市中区元町1-77-4)
[横浜高速鉄道みなとみらい線「元町中華街駅」より徒歩10分]
入場無料

詳細は、http://millylaforet.com/live026.html

*4/19の後は、9/6、11/22にサロンコンサートを催す予定です。





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