venus

天命

2017_04/30 updated

大好きだった母が亡くなってしまいました。
何事も大切にしていた母らしく、 頂いた命をこれ以上はないところまで使い果たしてくれ、
脈拍がゼロになっては復活して、を何度も何度も繰り返し、
看護士さんも先生も終いには爆笑して
「こんな人、初めて見ました!」 と仰るほど素晴らしい戦いぶりを見せてくれた後、
焚き火の熾がゆっくりゆっくり消えていくように息を引き取りました。
『天国への階段を一所懸命上っているのかな?』と思える苦しそうな時間、
歌を歌ってあげたり、お話をしたりして、ずーっと傍にいてあげられたので、私も悔いはないのです。
それでも、この世ではもう会えないと思う喪失感や絶望感が定期的に襲ってくるし、
病院の椅子に寝泊まりしていたせいで体力が落ちてしまったり、
母の葬儀の日に大好きだった先輩プロデューサーも亡くなってしまったり、
あれやこれやの心労も重なって、身も心もボロボロ・・・
息をするのもしんどい日が続いていたので、
しばらく繭の中でじっと過ごさせて貰っていたのでした。

その中で学んだことは、 本当に悲しくて辛い時は感情を無にすることが出来る、ということ、
そして、無になった時にこそ「天命」が見えてくる、ということでした。

母は、実母を10歳の時に病気で亡くしたり、
心筋梗塞になって10時間に及ぶ難しい手術を受けたり、
認知症になったりで、決して順風満帆な人生ではなかったのですが、
それらを淡々と受け止め、全く愚痴ることなく、いつもニコニコよく笑い、よく働く人でした。
なぜだか天から俯瞰しているような発言が多かったのですが、
今思えば、苦労したからこそ、ある種の徳を身につけていたのでしょうねぇ。

母の口癖の中で私が好きだったのは、
「特別な人にならなくていいからね。でも、好きなことは大事にね。」
「物はなくなるけれど、身につけた技術や知恵は、一生自分の中に留まる。」
「つかず離れずがいい。」「過ぎたるは及ばざるが如し!」
「手をかければかけるほど愛おしさが増す。」
「何よりも大事なのは人の気持ち。」
「お天道様はいつも美織ちゃんを見ている。
良いことをしたらお天道様からご褒美を与えられ、悪いことをしたら罰が与えられる。」

最後のお天道様の話は、何度も母に言われたので、しかと心に留め置いていたことなのですが、
そのお天道様に匹敵すると思える「第3の眼」のお話が、
野性の獣医の齊藤慶輔さんと作家の上橋菜穂子さんの対談で話題にのぼっていました。
(これ、素晴らしい対談でした!)
上橋さんは、 自分が何かを見るのが第1の眼、 相手の立場に立つのが第2の眼、
高いところから俯瞰して自分を見る眼が第3の眼と仰っていたのですが、
斎藤さんはその第3の目を持っている人のことを
「見なかったことに出来ない人」 という言い方をされていました。
そして、お二人ともに、そういう「見なかったことに出来ない人」が好きで、
自分も「見なかったことに出来ない人」でありたいと仰ってました。
うーん、わかる!
私も、好きだなぁと思う人は必ず「見なかったことに出来ない人」ですもの。
自作曲のテーマにもよく使っています。
ただ、私は、お天道様は自分の良心を育ててくれる存在であり、
第3の眼は、自分の美意識を育ててくれる存在だと思っていたのです。
でも、この対談から察すると、 第3の眼とは「天命」を与えられた人が持っている眼となりますね。
確かに、天命に従って生きているふうの人、
例えば、真央ちゃんとか、大ちゃんとか、健さんとか、齊藤先生とかは、
美意識で戦っているようにはみえませんものねぇ。
モノの見方が自分中心でなく、神がかっていますもの。

もう一つ、対談の中で、斎藤先生が 「人間が力を持ってしまったために、生態系が崩れつつある。」
と仰ったことも、非常に印象に残ったことでした。

実は、母が苦しんでいる時、姉が「早く楽にしてあげよう」と提案してきたのです。
優しさから言っていることは間違いなかったのですが、
私は拒否し続けました。
母は苦しみも悲しみも全部しっかり受け止めて生きてきた人です。
今さらラクしたいなんて思うはずがないです。
与えられた人生を全うしたいに決まっています。
でも何度も言われると「自分の考えが間違っているのかな?」と思えてきて、
気がおかしくなりそうでした。
それで、担当医のところに「母は生かされているのですか?」と聞きに行ったのです。
先生は「この点滴はご飯の代わりで、この点滴は痛み止め。 生きているのはお母さんの生命力ですよ。」
と説明して下さり、励ましても下さった。

生命力・・・
『なんて素敵な言葉なのだろう。』と思いました。
そうなのだよ、生き物は皆、生命力を持っているのだよ!
命も自然も食べ物も、人間が勝手に操作するべきではないのだよ!
齊藤先生の仰る通りだと思いました。

そのときです。
『これが天命なのか?』と思われる言葉が降りてきたのです。
これを享受するべきだと強く思いました。
ようやく私も自分の天命を知ることになったのかもしれません。

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さて、次回ライブのお知らせです。

milly la foret LIVE035 fermentation〜醗酵〜

035LIVE

2017_5/20 (sat) 16:00開場 16:30開演

@泰生ポーチ1Fカフェ (横浜市相生町2丁目52)
みなとみらい線 馬車道駅から徒歩5分 JR 関内駅・市営地下鉄関内駅から徒歩5分
¥2,000

発酵食品好きの私達が、醗酵にまつわるお話と、
醗酵させたつもり(笑)の曲の数々をお送りします。
もうすっかり元気になって、すでに一所懸命準備しておりますので、
是非是非お出でくださいませ!

詳細、ご予約はhttp://millylaforet.com/live.html

そうそう、バタバタしていてご案内しそびれてしまった034 LIVEは、
山本安朗さんの陶芸、バーネット秀抱さんの生け花展での演奏でした。
お祝いの席だったので母のことは一切触れずに演奏しましたのに、
毎度来てくださるお客様が
「今日、美織さんの声がいつもと違いました」と仰ったので、びっくり。
大変有難いことだなぁと思いました。
でも、よく考えたら、お客様達の感度の良さに耐えうる演奏をしなくちゃ
ということになりますよねぇ。.....がんばりまーす。
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