ノンキー組曲は、私がずっと頭の中に大切にしまってある、ある景色を思い浮かべながら作りました。
それは、私が、昔、留学していた、イギリスで見た光景です。
厳密に言うと、イギリスでの頑張りを癒しにいった「スコットランドへのコーチツアーで見た光景」=
どんより曇った空、どこまでも続く緑の丘、そこで草を食む羊達の姿、です。

その光景は、私の人生観を変えてしまったほど、素晴らしいものでした。


私を乗せたコーチから見える景色は、走っても走っても変わることがなく、「羊のいる丘」ばかりでした。
「それじゃあ、退屈だったでしょう?」
と言われると、確かに、今日が何日めで、自分が何処に居るのかも分からなくなるほど単調で、
全くテンションが上がる場所ではありませんでした。
けど、懐かしいような、ほっとするような、帰りたくなるような、
そんな気持ちにさせてくれるところだったのです。

どこまでも続く雄大な牧草地にいる羊は、のんびり暢気そうで、本当に優しい顔をしていました。
道路を通せんぼしてしまっても、幸せなそうな顔で、ボーっとしてこちらを見つめているだけ。
そして、その度、車に乗っている人々に「まあ、可愛い!」と言わせ、全員を笑顔にさせてしまう。

そうなのです、羊には妙な力があるのです。
1日中ひなたぼこをして、牧草を食べて、安全で居心地のよい丘で暮らしていても、
みんなに愛され、みんなを幸せにしてしまうのです。

その頃、ロンドン郊外で1分1秒も惜しんで勉強し、上を上を目指し、疲れ果て、
自分を見失いかけていた私にとっては、とても考えさせられた場所でもあり、ありがたい場所でもありました。
なぜなら、「そんな人生もあるんだあ。」と思ったら急に気が楽になり、
些細なことに満足出来るようになりましたし、日々の小さな幸せをありがたく思えるようになったからです。

そう、わたしは、羊のいる丘に救われたのでした。

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そんな私のエピソードを知って、娘が「ロンドンと羊を見たい。」と言いだしました。
私もいつか見せたいと思っていたところなので、ちょっと日程的に無理なスコットランドのかわりに、
似たような光景をみられるコッツウォルズ地方を選んで、計画を立ててみました。
今回もまた感動の旅となりましたので、ぜひ、紹介させて下さい。

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1999_3/21 ロンドン到着
1999_3/22 ロンドン市内観光〜「CATS」
1999_3/23 オックスフォード〜コッツウォルズ
1999_3/23 ストラットフォード〜アイリッシュパブ
1999_3/24 セントポール寺院〜大英博物館)
1999_3/34 The British Library・セントポールのミサ〜サイゴン
1999_3/25 ウィンザー城〜懐かしの母校〜「Westside Story」
1999_3/26 帰国


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