28.July.2000
吹奏楽コンクール横浜地区大会に行ってきました。
娘の所属するクラブが出場するのは、A編成という50人編成の方で、レベルの高い激戦区です。
この日をとても楽しみにしていた吹奏楽部出身の夫につき合って、ほとんどの出場校の演奏を聴きましたが、
同じ曲(課題曲)を様々な学校が様々な解釈をして演奏していくのを順番に見られ、楽しかったです。
同じ中学生だもの・・どこも、生徒のレベルに差はないなと思いました。
けれど、指導の先生の差は、かなり大きい!!
楽譜を読みとる力、生徒の気持ちを集めるカリスマ性、表現をするときに必要な引き出し・・を持っているか、
また、基本(その楽器本来の音を出すことなど)を教えているかどうか、などがバレバレでした。
ひとり、「完璧!」と叫びたくなるような先生が出ていらっしゃって、惚れ惚れしてしまいました。
その学校の子供達が、その先生を見つめる目がまっすぐで、「先生を信頼している」のがよく分かりました。
アンサンブルは、本当に「信頼関係」が大事なんだなぁと改めて思いました。
さて、娘は、難しくて、目立たなくて・・というトライアングルを、チンチキチンチキ叩いていました。
前々日に持ち帰って綺麗に磨いたり、家での練習用に一つ購入するなど、なかなか見上げた根性。
その甲斐あって、「トライアングルの人が良かった」と審査員の方に褒めて頂いていました。
そしたら「私、トライアングリストになる!」ですって。相変わらずのお目出度さです。
最後に、また惚れ惚れするような発言をした先生(教育委員長だったのかな?)が登場しました。
「県大会出場校の方達は、また明日から練習です。その他の方達は、夏休みですよー。」
こういう慰め方・・・好きだなぁ。
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27.July.2000
ノンキー初演の後、リフレッシュは完璧に出来たのですが、
ひとつだけ気になることがあり、次のステップに移れないでいました。
それは、拒食症と闘っている友人のことです。
実は、演奏会前の大変な時期に、なんだかとても気になって、入院中の彼女を訪ねたのです。
書店をぐるぐる回り、疲れなくて、重くなくて、面白くて、彼女の趣味に合う本を、一生懸命探し・・
痩せて小さくなってしまった彼女の姿を想像しながら精一杯の笑顔をつくって・・
勿論、プリントアウトした「ノンキー物語」の資料も沢山持って・・「えい!」と病室に入りました。
ところが、想像していたのとは大違い。
髪を綺麗にカールして、艶やかな顔の彼女が「わぁ、みおりさん!」と微笑みながら出迎えてくれたのです。
ベッドの上にきちっと座って、涼しげな笑顔で私の話を聞いている姿は、本当に若々しくて綺麗で、
冷凍保存されたバラの花を見ているようでした。
私は、用意してきた話を機関銃のように話し、彼女はそれをうなずきながら聞いていましたが、
ひとしきり話したところで、私は、彼女と私の間にそびえ立つぶ厚い壁の存在に気付きました。
彼女の殻は、私が思っているより、はるかに厚いのだと思いました。
それを私は、素手でドンドン叩いていたのね・・と思うと、まるで道化師になったような気分でした。
病室を後にしたら、思ったより元気だったことにホッとした気持ちと、
「もしかしたら、ノンキーのテーマ『そのままのあなたが素晴らしい』が、彼女を救えるかもしれない。」
と思っていた私のおごりを恥じる気持ちが高ぶり、涙が出てきました。
「人の気持ちを動かすなんてことは、そんなに簡単に出来ることではないのよね。」と思い始めたら、
ノンキー・プロジェクトを一生懸命やっている私も、道化師のように感じてしまい・・・
けど、彼女からこんな手紙が届きました!
「みおりさん、その後ノンキーは、どうなりましたか?是非、続きを聞きたいので、会いに来てね。
私も心から楽しめるものを見つけようと思います。」
道化師でもなんでもいいや、今日からまた頑張ろうっと!
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22.July.2000
渋谷区の施設で、吉沢実先生による「音楽物語を作ろう」というような講座が開かれています。
洋一さんが参加されていて、「面白いですよ。」と御紹介下さったので、見学に行ってみました。
今を時めく「恵比寿」の反対側のアーケードを抜け、代官山の手前の、そこだけ時間が止まってしまったような一角。
公園に面した大きな音楽室は、昔、私が通っていた小学校の教室を思い出すような懐かしい雰囲気。
次々とやってくる小学生・・
もう、始まる前から、すっかり小学校時代にタイムスリップしてしまった私でしたが・・。
今日は、前回作った弥生時代の土笛を使って、風の音やらを表現したり、
弥生人はどんな生活をしていたんでしょうね・・というようなことを教わっていました。
私は、最初は小学生の気分になって、おとなしい小学生と、活発なおばさまたちを冷静に見学していましたが、
いつのまにか弥生人の気分になってしまい、「私なら、こうしたい」という願望がフツフツとわき起こってきました。
そして、先生が「私が物語を読みますから、その間に音楽を入れていきましょう。」と仰ったら、もうだめです。
冷静に見てなんかいられません!すっかりやる気満々になってしまい、
「テナー、持っているひと?」の呼びかけに「ハイ!」と返事をして、しっかり参加してしまいました。
音楽は勉強として習っていくのではなく、感覚で好きになっていったらいいのに・・と思っていた私は、
今日の講座に出席して、自然と「リコーダーを吹きたい!」と思えたことが、とても嬉しかったです。
豊作を喜んで歌った歌、弔いの哀しい歌、お祭りの舞曲・・など、
昔は、フツフツとわき上がって出来た曲が多かったはず。
原点に戻り、そういう感覚を取り戻せそうなこの講座。結構、気に入ってしまいました。
それにしても、タイムスリップしてしまうあの場所は、演出なのかなぁ、偶然なのかなぁ・・
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19.July.2000
一夜(一日)漬けで迎えたレッスンでした。
今日も、沢山のことを教えて頂きましたが、その中に印象的なことがありました。
「存在感」です。
デュエットをしていると、自分が「主」になったり「助」になったりするわけですが、
その「助」の時に、存在感が無くなってしまっていると言われたのです。
なるほど、言われてみると、「陰に隠れなくちゃ・・」ばかりを考えていたので、存在感なんて無いはずです。
でも「存在」しなければ、「無」になってしまうわけで、「助」として、お役目を果たせませんよね。
逆に「主」も「でしゃばり状態」にならないように気をつけないといけないし・・
「存在感」って難しい!
これは、アンサンブルにも言えると思います。
「あなたが入ったら、いい感じになった。」と、できれば言って頂きたいですよね。
控えめ=無、出る=うるさい・・にならないように、いつも「いい状態で存在する」ことを目指したいものです。
そういえば、クラスに「学級委員」とは違った存在感で、良いムードメーカーになっていた友人がいました。
その子がいることによって柔らかい雰囲気が漂っていたのだけれど、それに気づいたのは、その子が転校してしまった後でした。
それまで目立つ存在ではなかったので、彼女の「存在」を誰も高く評価していなかったのです。
けれど、もしかしたら彼女のように、目立たなくても、たとえ気がそっちにいかなくても、
しっかり雰囲気作りに貢献している「存在」こそが、「助」として必要なのかもしれない・・と思いました。
そして、「主」は、大きい音を出して「目立てばいいんでしょ!」ではなく、
オペラ歌手が小さい声で囁くように歌っても、主役は主役として存在しているように、
どんな音量でも、どんな音色でも、人の気をこっちに持ってこさせる、
スポットライトが当たっているような「存在感」が必要なんですね、きっと。
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16.July.2000
怒濤の一週間が終わりました。
一日24時間しか与えられていないのに、恐らく30時間の内容で暮らしていました。
家庭人としても、ノンキー・プロジェクトの言い出しっぺとしても、力の限り戦ったという感じです。
私に、こんなに気力と体力が残されていたんだ・・と思うと、まだまだ捨てたモンじゃないな。
平尾重治さんに注文しておいたソプラノが届き、作って頂いてから2年経ったアルトも調整していただき、
それだけでも、感動、感じたことが沢山あったのに、それに浸っている場合じゃなく、
アートチームの画像が、最終段階に来て結構苦労をしたので、高速運転ブイブイの毎日・・
朗読の期待の星Kくんが、大事なサッカーの試合で初演に出られなくなり、ピンチヒッターの一年生Hくんに頼み、急遽練習。
いろいろな人達の力を借りているんだと思うと、「まぁ、いいか。」はとても言えなくて、
パート譜作成、チラシ作り、進行表、物語の直しなど・・諦めずに頑張りました。
コンソート青葉も、初めての「お仕事」のお誘いで大騒ぎ・・
ノンキー・プロジェクト最終練習も、都心の中学校の音楽室を借りて夜間に行われ、
また、こういうときに限って、娘の面談があったり、娘が大火傷をしたり、
駄犬が脱走して公園で大暴れをしたりで、生きた心地がしなかったこともあり、
平均3時間睡眠で一週間・・さすがに土曜日はフラフラで倒れそうでした。
けど、「頑張って良かった!」と、今日、ノンキー初演を終えて、心底思いました。
「ノンキー物語」旅立ち編で、今、私たちに出来ることを全て出し切れたと思います。
ノンキー、マージ、ランと共に、メンバー一同が、やっと旅立てたように思います。
爽やかな笑顔と歓声の打ち上げ風景・・
愛と夢のために一生懸命動き、働き、作り、練習した人達の美しい姿ばかりでした。
演奏会のことは、後日ゆっくりご報告致します。
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11.July.2000
私は、この頃、走っています。
一年前の今頃は、ノンキーのように、のんびり、のどかに暮らしておりました。
ところが「考える」マージのような日々が続くようになり、
そして今度は、とにかく、ランのように走り回る毎日・・
言うは容易いけれど、考えたことを実行するのは、大変なことだと、呻きながら・・
「ま、いいか。」と諦めたら、形にはならない。とにかく、頭を使って、手足を動かすっきゃない!
夢を実現するには、必要なことですから。
さて、夢は何?・・かと言いますと、それは、人間の能力を駆使して作品を作ることです。
「価値あるもの・・それは、モノではなく、人間の力。」だと信じたいからです。
モノがあふれ、スイッチひとつで何でもできるし、お金でなんでも解決できてしまう世の中・・
人々は楽をして生活し、いつしか考えることも、動くこともしなくなっていませんか。
人を動かすのは、お金でもモノでもなく、人の心であること、
そして、夢が叶えられるのは、人間の脳と手と足と心を使った時に限られる・・
それを証明することが、私の夢なのです。
ノンキー・プロジェクトでは、今のところ、練習場代にしか、お金を使っていません。
敢えてギャラもお払いしていません。それは、私の今の世の中に対する抵抗です。
お金で何でも手に入ると思うのは、悲しいことです。
7/16の演奏会では、OHPの映像を使うのですが、そのスクリーンも
200号の油絵を描くときに使う巨大イーゼル(Cさんのお父様の形見)に、我が家の窓のロールスクリーン・・
楽譜カバーも、既製の色紙ではなく、アートチームに、障子紙を加工した手の込んだものを制作して頂いている。
とにかく、お金は「全く」といえるほど、使っていないステージなのです。
まだまだ、予告編・・のようなものですし、至らぬことも勿論多いとは思いますが、
人々の知恵と愛情の賜なので、自信を持ってお見せ出来ます。
是非、見にいらして下さいませ。
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5.July.2000
最近、慌ただしい日々を送っているので、練習不足のレッスンでした。
一夜漬けで練習したものの、やはり筋肉使用単純運動系は、駄目だなぁ。
3日サボったら、元の木阿弥・・先週は、吹けていたのに、ぶつぶつ。
音楽性や、楽譜読みとり系は、練習時間と比例するわけではないから、それなりに進歩していかれるけれど・・
ただ、その音楽性や、楽譜の読みとり系についても、先生が「どこまで教えていいのか。」で悩んでいる様子でした。
確かに、先生が読みとったことをそのまま、手取り足取り教えて頂き、
そのまま私が演奏するのでは、双方にとってプラスになるとは思えないし、
かといって、私が今の段階で読みとれたことだけを演奏するなら、
「なぜ、わざわざ先生に習いに行く必要があるのか。」ということになってしまいます。
けれど、これは、私が自問自答を繰り返してきた問題でしたので、今日は、即答できました。
「まず、CDも聴かず、先生の意見も聞かず、とにかく自分で考えてきます。
けれど、先生が『こうした方がいい』と思うことは、たくさん聞かせて欲しいし、100%受け入れるつもりです。
それは、私は、今、引き出しがいっぱい欲しいからです。
でも、あと何年かしたら、「私のソナタ5」を演奏するつもりで頑張りますから。」と答えました。
さまざまな先生に対しての批評をよく耳にします。
私は、いつもそれを聞きながら、「生徒の方の問題もあるのになぁ・・」と思います。
「何を学びたいか」「どういう目的で習っているのか」「どこまで学びたいか」「どの段階で OKにするのか」
を訴えない限り、先生はどうしていいのか分からないのだと思います。
習ったものをそのまま伝えていく伝承の世界もあるけれど、
私は、やはり習ったことを自分のフィルタを通して引き出しにためていき、
いつか「自分の音楽」を表現するときに役立てたい・・と強く思っています。
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1-2.July.2000
金曜は清美さんと、シーケンサーで新曲の打ち込みをしました。
リコーダー用っていう感じのとても素敵な曲で、今までの曲と全くタイプの違う曲だから嬉しくてたまりませんでした。
その後、調子の悪いパソコンをおだてながら、楽譜作成を頑張り・・
寝不足のまま、「嵐」ような週末になだれ込みました。
土曜は朝10時から13時までコンソート青葉の練習、その後ノンキー・プロジェクトの練習が14時から20時まで・・
と、朝から晩までリコーダーを吹き、日曜は朝からパソコン屋で夫が仕事で使うパソコンを物色して、ついにVaioを購入。
午後は、Vaioに後ろ髪を引かれつつ、山岡重治さんの恒例「田園バロックコンサート」に足を運び、
夕方からは、7/16のコンサートの舞台監督、照明、音響の方々との打ち合わせ。
それから滞っていた主婦のお仕事・・ふぅ。
あぁ、それにあの暑さだもの・・さすがに、何度も立ちくらみがした週末でした。
コンソート青葉は、古い曲を中心に、新曲を何曲か初見でやってみましたが、どれも素敵な曲でしたし、
9月の合宿で「バロック舞踏をみんなで習おう!」という話も出て、大いに盛り上がりました。
そして、新たに若いメンバーが加わったら、ポワッとした青葉がさらにポワン度を増し、
どんどん柔らかくていい雰囲気のグループに育っていっているなぁと感じました。
ノンキー・プロジェクトは、7/16のコンサート前の最後の練習でした。
音程もノリも、火事場の馬鹿力なのか、合わせの練習をよくしたからか、かなり良くなってきましたし、
それぞれの分野の事情通の方々が、いっぱい意見を言って下さったので、大助かりでした。
前回の自主練習と違い、全員参加だったこともあり、バランスもよく、随分吹きやすかったと思います。
新しく加入したHさんは、「本当にこんなに楽しい練習に参加したのは初めてと言っても過言ではないくらい楽しかった」そうで、
家に帰って、味わったことのないような美味しいビールを浴びるほど飲んだとか。
また「6時間続けて練習したけれど、全然飽きなかったし、曲も嫌いにならなかった。」と夫も言っていましたし、
この長時間練習の後に、メンバーから、「もっと、もっと練習をしましょう!」という意見が出るとは思っていなかった私・・
皆さんのスケジュールや、家の遠さなども考慮し、遠慮しながらスケジュールを組んできた私としては、
ちょっと意外でした。でも、何よりも嬉しいご意見でした。
また、コントラバス吹き・・として期待していたMさんが、都合によりコンサートに出られないので、
最年少、男、しかも「息が余って困る」と言うIwaoさんに白羽の矢が当たり、
バスの神のMさんがつきっきりで教え、一日にして頼もしいコントラバス吹きが誕生しました。
私は田舎暮らしの経験(卵を持ってきたお隣さんが、「お醤油貸してぇ。」と言ったりする)を思いだし、
お互いに与え合い、お世話になり合い、助け合い(利用しちゃ駄目だけれど)
・・が出来る社会がいいのになぁと思っています。
「ブツブツ交換」のような一対一の関係が「リング状に助け合う「Give and Take」に発展するのが理想像。
母親のようなMさんが青年に教えている姿が微笑ましく、
青年が今度は、それをいつか誰かに教えて、「リング」が出来ていくといいなぁと思いながら、眺めていました。
田園バロックコンサートは、前日の練習で耳が疲れていた割に心地よく聴け、大好きなバッハを堪能しました。
山岡重治さんのリコーダーも平尾雅子さんのビオラ・ダ・ガンバも、相変わらず本当に優雅で素敵!!
毎度大満足出来るこのシリーズは、いつまでも、いつまでも続けて欲しいなぁと思いました。
最後に山岡さんが「手作りのコンサートなので、予約のお電話を頂いても留守でご迷惑をお掛けすることが・・」
と言っていらっしゃいましたが、昔のようにお金がないから「手作り」するのではなく、
「手作り」は、「愛情入り」なんだということを訴えているし、それを感じ取れるコンサートでした。
私も、見習って「手作り」の思想で、様々な活動を続けていきたいなぁ。
うーん、とっても疲れたけれど、良い週末でした。
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