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2011_09/16

キャッチボール

震災特集を見る度、やりきれない気持ちになっていたのですが、ある日、
「大切な物がいっぱいあったはずなのに、全部無くしてみたら、
実はどれも、そんなに必要な物ではなかったことに気付きました。
今の宝物は、皆さんから頂いている愛です。」
と笑顔で語っている青年の記事を見つけ、ハッとしました。

世の中にはいろいろな道があるけれど、
きっと、そのどれにも灯火が存在するのだと思う。
でも、明るくて平坦な道から眺めると、イバラの道は真っ暗に見えるので、
つい、「気の毒」と思ってしまう。
でも、気の毒なのは、自分の歩いている道に灯火があることを忘れてしまっている私の方だ。


灯火


そういえば、私の尊敬していた校長先生が、
「輝く光じゃなくて、灯火こそが大切な物を照らしてくれる光なのです。」
と、よく言っていました。
明るいところで見ると、全てが綺麗で全てが大切で全てが宝物のように感じてしまうからだ、と。
「失敗しても諦められないものが、あなたが本当に大切にしたいものなのよ。」
とも言っていたので、
「なぜですか?」と聞いたところ、
成功した時は、「それ自体の魅力」より、「勝った」「讃められた」「儲かった」というような、
それに付随する魅力に惹かれていることが多いから、だそうです。
「では、上手くいっている時は、大切なものを見つけられないのですか?」と尋ねると、
「そんなことはないですよ。どうしたら見つけられるのか、考えてみて下さい。」
と言われたことを思い出しました。

というわけで、私のこの夏のテーマは「灯火探し」でした。
カーッと照りつける眩しい太陽の光の中でも、果たして見つけることが出来るのでしょうか?
まずは、メモしておいたエピソードを記させて下さい。

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全く知らない人に骨髄の提供をしたばかりの友が、興味津々で質問する私に、
「次の日に歩いて帰ってきて、買い物して、夕ご飯も作ったんだよ。
なんてことないよ。」と、答えてくれました。
いつも思うことですが、強い人の優しさには、気負いがないですよね。
ちなみに、ドナー登録してから連絡が来るまでに3年、健康診断やら事務処理に約半年かかったそうです。
そして、提供出来るのは、55歳の誕生日の前日まで・・とのこと。


重鎮音楽家の「バイトしているから駄目なんじゃないの?」というアドバイスに耳を傾け、
正真正銘のハングリーな状態で音楽に没頭することになった俊輔君が、
愛用していた金食い虫のバイクを手放すことになりました。
明日売りに行くというので、バイクにさよならを言いに行くと、隅々までぴかぴかに磨かれてあったのです。
感謝の気持ち、大事ですよね。

お客さんが数人というところからスタートし、
メンバーの突然死を乗り越え、バンド結成20周年ライブを行ったHOT KUMA。
「ヒット曲もなくマネージャーもいないのに、20年も続けてこられたのは・・」
という挨拶に「仲間への愛」「音楽への愛」「お客さんへの愛」を感じずにはいられませんでした。
幾多の困難を乗り越えてきた人の言葉には重みがありますね。


難病にかかりながら、子育てしながら、バリバリ働いているキャリアウーマンの友が、
何をやる時も「助走が必要」と言っていました。
助走=覚悟を決めるということなのでしょうかね?
簡単に「やりたい」「やめたい」という人が多くなったなぁと思う今日この頃、
確かに、「助走」は、地球上の全ての人に、今、一番必要なことかもしれませんね。


演劇で大活躍中のイルくん、なかなか私とスケジュールが合わないので、
「アルバムが完成するまで、週に1度、公演や稽古を終えた夜12時頃から朝6時まで制作させて貰えませんか?
その時間帯なら、二人とも大丈夫でしょう。」と提案してきました。
私がオケを作って、あとは歌を歌って貰うだけ、というやり方も選択出来たと思うけれど、
「本気」には全力で応えるのが私の主義。
かなーりしんどいですが、お互いの考えていることをじっくり聞き合いながら進めていくと、
音が混ざって、、、それこそ、灯火のような光を発するのです。
「分り合う」って大事なんだなぁとつくづく思っています。

密かに勝手に、センスや性格が自分に似ていると思っていたプロデューサーのMさんと、
十数年ぶりにお会いしました。
自宅スタジオを見せて貰ったのですが、
やろうとしていることや何を大事にしているのかがはっきり分かりました。
規模・レベルは、象とアリほどの違いがありますが、
私のミニスタジオと酷似していたことが、とても嬉しかったです。
新旧の機材の混ぜ方とか、ソファの位置とか、自分で全部出来るようになっていることととか。
意思の強い人は、絶対に曲げないところを持っているので、よく頑固者扱いされますが、
そうしないと守れない・発信できないのですよね。うんうん、共感。。。

Oくんが、「持っていった履歴書を見ないで、目をじっと見て採用してくれたのですよ。」
と話してくれた女将さんにどうしても会ってみたくなったので、
創業70年の老舗に連れていって貰いました。
暖簾の向こう側に見える板さんが、1匹捌く毎に包丁を研いでいるのが見えたので、
「これは期待出来る」と思っていたら、大正解。
魚の選び方、捌き方、揚げ方、お漬物の漬かり具合からお茶の入れ方に至るまで、お見事でした。
あんまり美味しかったので、骨一本、大根おろし一滴、米粒一つ残らず平らげたら、
予想通りとても綺麗な目をした女将さんがやってきて、
「まぁ、綺麗に食べて下さったのね。」と、とても喜んで下さいました。
確かに目の綺麗な人は、周りをよく見ているし、見抜く力があるし、優しいですよね。


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と、いうわけで、心が動いたエピソードを並べてみたら、
全て「人を介して」感じていたことに気づきました。
なので、たぶん、灯火は「人とのキャッチボール」から生まれるのじゃないかなぁに思い至りました。
投げて、投げ返されてを続けていくうちに、いろいろなことが見えるようになり、
見えるようになったら、上手にやりとりしたくなって、
お互いに観察し合ったり、技を磨いたり、気を配り合ったりするようになり、、、
気がつくと、良い方向へ導びかれている・・という具合。

あ、違うな、そしたら、大切なものがボコボコ沢山生まれてしまうものね。
そうなると、迷いが生じる。。。うーむ。
ということは、「灯火は人とのキャッチボールから生まれる」のじゃなくて、
キャッチボール=灯火=一番大切なモノ!!
どうでしょう、校長先生?正解でしょ?


さて、長くなってしまいましたが、最後に、お知らせを二つさせて下さい。
まずは、1週間後に迫って参りましたmilly la foretのライブのこと。

ミュージシャンの皆さんにお手伝い頂いて行う「薬草ライブシリーズ」とは別の
「牧草ライブシリーズ」を企画してみました。
こじんまりとしたお洒落なカフェタイプのライブハウスで、
椅子に座ってゆったりムードで聴いて頂こうという企画です。
記念すべき第一回目のゲストは、牧草地が広がるアイルランドから、
ギタリストのSean Whelanさんです!
私達の音楽の他に、上質なアイリッシュも聴いて頂けますよー。

参加して下さる皆さんと良いキャッチボールが出来るように、
様々な工夫も凝らしておりますので、お時間の都合がつく方は、ぜひいらして下さいませ。

牧草ライブ   milly la foret LIVE 009「秋の牧草」
2011_9/24 (sat) open 13:00 start 13:30

@北参道ストロボカフェ
ゲスト:Sean Whelan from Ireland

詳細・御予約は、
http://millylaforet.com/live.html



もう一つのお知らせはCDです。
オペラ歌手の錦織健さんのニューアルバム「日本をうたう」が9月21日に発売になります。

その中の3曲のアレンジと演奏を担当させて頂きました。
格調高い音楽家の皆さんが作りあげる格調高い音楽に混ぜて頂き、大変光栄でした。
正直、ピアニストの川原忠之さんのハイレベルな伴奏を目の当たりにした時は、
私などが参加してしまってはいけない領域だと思いました。
けど、健さんが、「美織さんは美織さんのセンスでやったらいい」と言って下さっていたので、
「私の色、私のセンス、健さんの色、健さんの歌」その4つが綺麗に混ざるところを狙って、
全力で頑張ってみました。
その間、ずっと触発し続け、エールを送り続け、アドバイスし続けて下さった健さん。
人とモノを作るってこういうことだったな、と、
その素晴らしいプロデューサー能力にも感心させられました。

音楽が存在する意味、音楽を広めていく意味、技術を磨く必要性・・
いろいろなことが感じられるアルバムに仕上がっていると思います。
ぜひぜひ聞いてみて下さい!

日本をうたう   錦織健
日本をうたう~故郷(ふるさと)~

2011/09/21発売
ポニーキャニオン
品番:PCCA.03486



さあ、ようやく日記も書けたので(笑)、24日のmilly la foretのライブの準備と、
21日の障害者学級の修学旅行での演奏会(こちらは友遊で)の準備を、
全力で頑張ります!



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