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1999/3_23(ストラットフォード・アポン・エイボン〜アイリッシュのLIVE)
Stradford-Upon-Avon
ストラットフォード・アポン・エイボンは、御存じの通り、シェークスピアの町です。
とても素敵な所だと噂には聞いていたのですが、なにせロンドンから車で2時間以上もかかるところなので、躊躇していたのです。
けれど、行く価値がありました。もう、筆舌につくし難い素晴らしさ!何が素晴らしいって、全部。語りきれません。
私があれこれ言うより、是非、皆さんの目で確かめてほしいと思います。視覚的に綺麗なだけではなく、
住人の生活の中に文化がしっかり入り込んでいる・・・そんな感じを受ける所なんです。
例えば、シェークスピアの生家は、知恵の宝庫でした。
農家の人が、「知識」ではなく、「知恵」を使って生活していた様子がわかります。
また、チューダ−様式の建物が今も昔のまま使われているのですが、決して観光のためではなく、
自分達の歴史・・古いものを大事にしようというイギリス人気質が息づいているからなのです。
工芸品などを扱うお店に入れば、どの店でも熱っぽくどうやって作ったかを語るのです。
私の大好きな陶芸の工房でも、さりげなく、かつ熱っぽく語られましたが、誰一人としてセールスをしないのです。
どうやら、職人に限らずここに住む人たちは皆、自分達のまわりの物にかなりの誇りを持っているようでした。
「人に売るために作っているのではない。」「気に入ったんだったら譲ってあげます。」という声が聞こえてきそうでした。
もしかすると、歴史+文化を作っているのだという自信が、この町に彩りを与えているのかもしれませんね。
わたしもモノを作ることが何より好きですが、是非この精神を見習いたいと思いました。
相変わらず羊のことが気になっていた娘が、アン・ハサウェイの家の近くに牧場を見つけたので一目散に走っていくと、
"She is runninng to the icecream shop!"というアメリカ人達の笑いがおきました。
確かに、牧場の手前にアイスクリーム屋さんがありましたが、私達がそこを通りすぎてしまうと、
例のアメリカ人たちは本当に不思議そうに私達をみつめていました。
今頃、「日本人はなんで羊があんなに好きなの。」なんていう話題で盛り上がっているかもしれませんね。
「SWAN」
帰りのコーチに乗る時、「脱走しちゃおうか。」と本気で言い合ったくらい楽しく有意義な旅でした。
が、脱走を思いとどまったのは、その夜、アイリッシュを聴きにいく約束をしていたからです。
アイルランドの音楽は、我が家全員がとても好きな音楽です。
チーフタンズやコア−ズのようなグループは日本でも見られますが現地のバンドが是非見たかったので、
前もってロンドン在住のフィドル奏者でもありプロデューサーの松任谷愛介さんに聞いておいたのです。
そしたら、ちょうど今晩「SWAN」というお店にアイルランド人が集結してライブをやるというので、
一緒に連れていってもらうことにしたのです。
ライブの前に怪し気なインド料理の店で夕食をとったのですが、飛び込みで入った割には美味しかったし、
松任谷さんが少年の眼差しで自分で作ったものについて語るのを聞いているのが楽しくて楽しくて、
すっかり長居をしてしまい「SWAN」に到着したのは9時すぎでした。
「もう終わっているんじゃない?」と心配したのですが、とんでもない。
平日だというのに、どうやら夜通しやっているのだそうです。あの民族の体力はどうなっているの?
そんなことよりもっと驚かされたのは、観客と出演者は別・・のはずが「SWAN」では一緒だったのです。
演奏している人達は、円座になってそれぞれ好きな楽器を演奏しているのです。
円は3重ぐらいになっていて、笛やら太鼓やらフィドルやら、ごちゃ混ぜになって、みんな楽しそうにアイルランド民謡を演奏しているのです。
疲れたなぁと思ったら観客側にまわって飲み、よしやろうと思ったら円座に加わる。そんな繰り返しをしているのでした。
「ああ、楽器をもってくればよかったぁ。」と一同顔を見合わせて同時に言ってしまいました。
なんだか演奏したくてたまらなくなる雰囲気だったのです。
私達もいつかそんなライブができたらいいなと心底思いました。
飲み屋さんを借切って、みんなそれぞれ好きな楽器を持ってきて、飲んで、歌って、演奏して・・・。
音楽の原点て、こんな風じゃなかったのかしらね。
本当に、長い長い一日が終わりました。ホテルに帰った後は、記憶にありません・・z・・z・・。
その後、松任谷さんからテープが送られてきました。アイルランド民謡と日本の民謡が見事にミックスされたとても素敵な音楽でした。
聴きながら、また羊の丘を思い出してしまいました。