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17.March.2002
ケンメア〜キラニ−〜リムリック〜ダブリン
今日、3月17日は、セントパトリック・デー!
(*St.Patrickはアイルランドの守護聖人です。)
アイルランドで一番大きなお祭の日と聞いていたので、
どんな大騒ぎが起こるのだろうかと期待していたら、
お店はほとんど開いていないし、飾り付けも無いし、町の中心部もシーン・・
そういえば、ウニ奥さんに「セントパトリックデーに、何をするの?」と聞いた時、
「何も。皆で集まって、教会へ行って、ディナーを食べて・・それだけ。」
と仰っていたのを思い出しました。
アイルランド国内にアイルランド人はたった約380万人弱、
約7000万人が全世界に散らばっているそうなので、
その日は、ダブリンのみならず、世界の大都市で、大きなパレードが繰り広げられるそうですが、
ちょうど日本の「お盆」のように、この日アイルランドに「里帰り」する人も多いそうで、
お祭りというよりは、一族が集って神に感謝することの方が目的になっているようでした。
一応、おみやげ屋さんだけは何軒か開いていたので、ケルト模様のアクセサリや、
シャムロックや羊の可愛いおみやげを購入し、ケンメアを出発。
夢のような日々は、あっという間に終わってしまいました。
今晩はダブリン、明日はもうロンドン・・
そう思ったら、車に乗った途端、悲しくなってしまいました。
■■
アイルランドで毎日見て、毎日興奮したもの・・
それは、虹です!
虹の出所や、端から端までをパノラマで見たのは初めてだったので、感動しました。
もっともっとずっと綺麗な虹をいっぱい見たのですが・・
車を走らせているだけで、他にも沢山感動するものに出会えました。
道路脇の茂みに現れたカモシカ達、
キラキラ宝石のように輝く湖面、のんびりくつろぐ羊の群れ、
どこまでも続くエメラルド色の大地・・
窓の外を見ていたら、「Minstrel Boy」を演奏したくなりました。
私がアイリッシュミュージックを好きになったきっかけの曲です。
作曲者は、こんな景色を見ながら作曲したのでしょうか。
アイルランドの景色は、人を触発する何かを放っています。
そう、語りかけてくるような、誘いかけてくるような景色なのです。
ただただ眺めているだけで、沢山いい曲が書けそうでした。
■■
何軒か物色した後、トラディショナルアイリッシュプレートを
食べさせてくれるパブに落ち着き、ひと休み。
うーん、やっぱり野菜がめちゃくちゃ美味しい!
お肉も、BSE、口蹄疫のことをすっかり忘れてしまうほどのいいお味でした。
パブというと、酒場のイメージを持っていましたが、
小さい子から、若者、老人までいろいろな人が集ってきて、
テレビを見たり、楽しそうにお話をしていたり・・
本当の意味の「Public House」の役割を果たしているのが分かりました。
「飲食しないでも、気軽にトイレを借りることができる」と聞いていましたが、
それもその通りでした。
とにかくどこに行っても、誰もがフレンドリーで、
とても親切にして下さいました。
■■
さて、可愛らしい原色の家やパブの並ぶ小さな村と緑の草原の繰り返しが終わり、
大きな町に入りました。
人々が緑色の洋服を着て、シャムロックグッズを身につけて沢山歩いています。
町のそこかしこにセントパトリックデーの飾り付けもあって、華やかです。
ギネスの工場が見えてきました。
ダブリンです。
緑一色のセントパトリックデーグッズ
ダブリン・・初日は、感動で震えた町です。
なのに、今は、全然違う印象を持って見ています。
賑やか、華やかではありますが、よく見ると汚くて、ごみごみしてて・・
タイムマシーンに乗って「過去」から戻って来たのではないかと疑ったくらい、
今朝まで過ごしていたあの小さい漁村が、とても懐かしく感じられました。
そうなのです、ウエストコ−ク州の村々とダブリンには、
田舎と都会の差ではなく、過去と現在のような違いを感じました。
確かに、ダブリンは文化の中心地で、便利で活気がある所なのですが、
そういう近代的な街なら、日本や世界中のあちこちにもあります!
緑の国アイルランドならではの雰囲気を味わいたいのなら、田舎に行くべき・・
と断言させて下さい!
■■
アイルランド最後の夜。
今日中にロンドンに帰らなければならない愛介さんをお見送りした後、
最後の力を振り絞ってパレードの残骸で汚れている寒い町をトボトボ歩き、
パブの前まで行くには行ったのですが、もう、入ることは出来ませんでした。
「今晩も絶対にセッションに参加するんだよ!」と言い残していった愛介さん・・
愛介さんが私達の起爆剤になって下さっていたことを、
改めて思い知らされました。
哀愁漂うパブ。歴史を感じます。
愛介さんが一緒でなかったら、セッションにも参加出来なかったでしょうし、
ゲリラライブも実現できなかったでしょうし、
美味しいお料理や素敵な人達にも、巡り合えなかったと思います。
それに、あんなにいろいろなことに感動できたかどうか・・
旅行を彩り豊かなものにしてくれるのは、やっぱり仲間じゃないかな・・と思います。
一緒に計画し、一緒にわくわくし、一緒に努力し、一緒に実現し、一緒に楽しみ・・
そんな単純なことで、喜びが何百倍にも増えたからです。
愛介さんに、感謝!
■■
ダブリンの街は、溌溂とした若者達で溢れかえっていました。
街のエネルギーよりも、そこに居る人々のエネルギーの方が強いなと感じました。
こんな街は、初めてです。
恐るべし、アイルランド人・・
ビューリーズのタルト。シャムロックの飾り付けが素敵!
古くはジェームズ・ジョイス、最近ではU2やメアリーブラック・・
多くの文化人達が、執筆や創作の構想を練るところとして有名なBewley's
Cafe、
「文化のたまり場」という言葉がぴったりな場所で、
センチな気分に浸り、アイルランド最後の夜を、静かに過ごしました。
つづく